アンティークのある美しい暮らし

アンティークだけが持つ可愛さ、素敵さを伝える場所になりたい。
自分の店を作ろうと思ったきっかけは、これです。

私が最初にアンティークと出合ったのは、
ずいぶん昔のニューヨークです。
当時、美術学校に在籍していた友人の画家を訪ねて、
思い切って渡米したのです。

何しろ私ときたら、それまで海外渡航歴ゼロ。
倉敷にいながら、瀬戸内海を隔てた四国にさえ
行ったことがないという、
完全土着民的生活を送っておりました。

初めて降り立ったJ.F.ケネディ空港、
お約束のように上ったエンパイア・ステートビル。
何もかもが新鮮で、こわごわながら、
ニューヨーク街歩きの楽しさに
徐々に目覚めていったのです。

とりわけ夢中になったのが、蚤の市巡りでした。
当時、6thアベニューにあった
「アネックス・ウィークエンド・マーケット」というガラクタ市は、
衝撃的でした。
遭遇した途端、アドレナリンが体じゅうをめぐるのが、はっきりわかりました。

ューヨークの蚤の市巡りの様子

わおっ、楽し~っ!
楽し過ぎる~っ!

うず高く積まれたボロの山、そして用途不明の小物たち、、、。
煤けたガラクタを、よくよく目を凝らしてみれば、あるある!
スカラップされた花模様のハンカチ、アイアンの錆びたフック、銅のヤカン、、、

掘り出す楽しさに、すっかり夢中になってしまい、
手がちぎれるほど買い込んで、ふうふういいながらホテルへと帰ったものです。

あれから、ん十年。

買い付け場所がヨーロッパ中心に移った今も、
アメリカの50年代のビンテージ品の素朴な可愛さは、
私の心をとらえて離しません。

その時代ならではの技法や文様、
流行やブームに支えられたムーブメント。
これらの集積を具現化した物が、アンティークです。

その魅力と価値を伝えたい。

国を超え、時代を超えて、
私の手元に来た愛すべきアンティークを、
次の持ち主へとバトンを渡すように、つないでいこう。

そんな気もちで、アンティークと接しています。

個々のアンティークが持つ小さな物語の続きが、
あなたの元で紡がれていきますように。
そして、アンティークのある美しい暮らしを
していただけますように!